日露戦争時代のロミオとジュリエット

このドラマは日露戦争のさなか、愛媛県松山に設置された「捕虜収容所」を舞台に、日本女性とロシア軍少尉の捕虜とが織りなす「愛」の物語です。
日露戦争は、長い鎖国から目覚め「近代国家」に生まれ変わろうとする「若き日本」が大国に戦争を挑みました。
そして、武士道が残る日本と騎士道が残るロシア、軍人同士はお互いを尊敬しながら戦った戦争です。
「捕虜」の扱いに関して、この時日本は寛大な扱いをし、世界に日本という国の存在感を示しました。
食糧は当時の日本の将兵を上回る経費をかけ、将校クラスを中心に「自由外出」がとられたほか、道後温泉で集団入浴をしたり、遊廓にいったり、松山市内の商店街でアルコール類を購入したり、妻子をよびよせ借家に住んだり……とかなり自由な生活でした。
そのほか、自転車競争や芝居見物、大相撲を見物させるなどの娯楽のほか、読み書きのできない兵卒には読み書きの教育をほどこしたりもしました。
将校クラスはかなりの大金をもっていたので旺盛な消費を繰り返し、「捕虜景気」がわきおこり、町はずいぶんと活性化しました。
本ドラマでは、ロシア軍の少尉である青年と、松山市内の女性との恋を軸に、エンターテイメントと歴史的事実をおりまぜた「人間ドラマ」を描きます。

物語

2018年、駆け出しのTVディレクターの桜子(阿部純子)は上司の倉田史郎(斎藤工)と一緒に兵墓地の取材でロシアに行くことが決定していたがその仕事に興味を持てなかった。
しかし、祖母菊枝(山本陽子)から自分のルーツがロシア兵にあると知り、興味を持ち始める。
手がかりはロシアから届いた謎の手紙とソローキン(ロデオン・ガリュチェンコ)、ゆい(阿部純子)、二人の日記。
日露戦争時、傷ついたロシア兵の看護をしていたゆいは兄の健二を戦争で無くし、心の奥底ではロシア兵を許せないでいた。
ソローキンはゆいの心の奥の悲しみを知り、その悲しみを取り除いてあげたいと願っていた。
ゆいはソローキンの寛大な心と女性を尊敬する考え方に、ソローキンはゆいの献身的な看護の優しさにふれ、お互いに惹かれあって行く。
しかし、松山市民と捕虜との交流は深まっていたが、戦争中という特殊な状況下、ソローキンとゆいの愛は許されなかった。
そして、ロシア革命に参加する為、ソローキンは脱走を計画、ゆいをロシアへ連れて行こうとするが…